LCDの液晶分子はパネル内で配向しており、電圧により液晶の配向状態が変わる事で表示が制御されます。
金属元素のようなイオン性物質がパネル内部に存在すると液晶が正しく駆動せず表示不良が発生します。
イオン性物質は、製造時の混入や長期使用で増加することが知られており、定量化して把握する事がパネル品質として重要です。
金属イオンは、ICP分析を用いることで定量分析を行うことが可能であり、前処理方法や検出感度の違いにより、ICP-AES/MSを使い分けて行います。
信頼性試験前後のパネルを用いてICP測定を行い、定量化を行った事例を紹介いたします。


ICP-AES分析による金属元素含有量の比較
置き時計などに使用される大きなパネルでは、抽出される液晶量が多く前処理が必要な為、溶液試料中の溶存総濃度が比較的高くても測定可能なICP-AES分析が適しています。試験前後でのナトリウム元素量の比較を行ったところ、試験後のナトリウム元素量は増加しています。



ICP-MS分析による金属元素含有量の比較
ラジオなどに使用される小型パネルでは抽出される液晶量が限定される為、より感度の高いICP-MS分析が適しています。試験前後でのナトリウム元素量の比較を行ったところ、試験後のナトリウム元素量は増加しています。



パネルサイズにより、ICP-AES/MS装置を使い分けて分析する事が可能です。