今月は電解コンデンサの熱と寿命の関係についてのお話です。
電解コンデンサに関するメールマガジンについてはこれまで幾度か発信しています。
過去のバックナンバー
2018/11月配信 【実録】未使用未開封でも劣化する電解コンデンサ
2019/01月配信 電解コンデンサの交換修理
過去の配信でも述べさせていただいてはおりますが、電解コンデンサは熱に弱い電子部品です。
電解コンデンサには寿命がある
電解コンデンサにも寿命はあります。その寿命に影響を及ぼすものといえば
環境の面では、温度や湿度、振動など、電気の面では、印加電圧や充電、放電のサイクル、リップル電流などが挙げられます。
その中でも特に温度条件は電解コンデンサの寿命に大きく影響を及ぼします。
その理由は、電解コンデンサの構造にあります。
電解コンデンサはアルミ箔で出来た電極と絶縁物を交互に巻き付けて出来ています。
その絶縁物には電解液が注入されています。
この電解液がコンデンサの静電容量(単位はF:ファラド)を決める要素になります。
これをアルミの筒に入れてパックされていますがこの電解液は周囲の温度が高くなればなるほど外部に漏れていきます。
内部の電解液が漏れれば漏れるほど静電容量は低下していきますから、コンデンサは劣化が進み、いずれ寿命を迎えることとなります。
電解コンデンサの熱と寿命の関係について
電解コンデンサの熱と寿命の関係については、すでにご認識のある方も多いかと思いますが、あらためて簡単に述べさせていただきますと、電解コンデンサには10℃、2倍則という定義があります。
周囲の温度が10℃下がれば寿命は2倍延びる、逆に周囲の温度が10℃上がれば寿命は2倍縮まるというものです。
電解コンデンサを選ぶ際、よくメーカーのカタログを見るのですが、よく以下のような表記が記されています。
例えばこの電解コンデンサ
容量:1000uF 耐圧:25V 直径:10mm 高さ:20mm
温度特性:105℃ 寿命:2000時間 パッケージ:ラジアル
これは円筒形のリード形状がスルーホール型で直径が10mm、高さ20mmサイズ、1000uFの容量でDC 25Vまで耐えられる電解コンデンサで、周囲温度が105℃下で使用すると2000時間(約83日)の寿命を意味します。
先ほどの定義にあてはめると、
周囲温度を10℃下げて95℃で使うと寿命は2000時間の2倍の4000時間に延びるさらに10℃下げて85℃で使うと寿命は更に2倍の8000時間になるという計算です。
つまり電解コンデンサは周囲の温度を低い状態で使用すれば長く使えるということですね。
電解コンデンサ不良による電源系統の故障がパソコンの故障原因となることは少なくはありません。パソコンに埃が溜まると内部に熱がこもり中の温度の上昇につながります。
パソコンを快適に動かすには、たまには中の掃除もしてあげると良いですね。