EPMAはEDXと比較すると検出分解能が優れています。
EDXでは元素の検出位置が近く、ピーク分離が困難な場合であっても、EPMAであればピーク分離が可能な場合があります。
22Ti と56Ba のピーク分離
分析例 積層セラミックコンデンサ
コンデンサは、チタン酸バリウム(BaTiO3)などの高誘電体を使った積層セラミックコンデンサが主流となっています。内部構造は、チタン酸バリウムの誘電体と内部電極を交互に1000層程度重ねた多層素子になっています。
チタン酸バリウム(BaTiO3)のX線スペクトル
22Ti および56Ba は検出位置が近接しており、EDXではピーク分離が困難です。
EPMAによる分析は、PET、PETH、LIF、LIFH分光結晶で検出されます。
波長分解能の優れるLIF、LIFH分光結晶を用いることで、22Ti と56Ba のピーク分離が可能になります。
47Ag と17Cl のピーク分離
分析例 チップ抵抗器の断面観察
チップ抵抗器はコンデンサとともに電子回路の中で最もよく使われる部品です。
カーエレクトロニクス、計測器、近年ではIoTなどあらゆる分野に不可欠な電子部品です。
47AgのX線スペクトル
47Agの検出ピーク位置は多いため、他の元素ピーク位置と重なることがあります。
17Cl は検出位置が47Ag-LL と近接しており、EDXではピーク分離が困難です。
EPMAによる分析は、PET、PETH分光結晶で検出することができ、17Cl と47Ag のピーク分離が可能です。
マッピング比較
EDXマッピングは、Ag上にClが分布しているかのように見えてしまいますが、EPMAマッピングでは分布が重なることなく検出することがが可能です。
EDXによる分析だけでは判断が困難な場合、検出分解能に優れたEPMAが活躍します。
また微量成分も検出できるため、不良解析に大いに役立ちます。